第17回問い立てラボ&第2回GEG Hiroshima City

「未来の教室」に向けて
~第4次産業革命を活かす学び、そんな時代を生きるための学び~


が開催されました。

その模様をレポートします。


まずはオープニング。


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代表の山崎先生から熱いメッセージ。

プログラムは以下の通りです。

14:00 ICT教育実践報告

15:00 講演

16:00 質疑応答


(1)ICT教育実践報告

司会は広島なぎさ中高等学校の斉藤健一先生。

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そして、お三方の実践報告がありました。

■飯盛聡士先生 広島城北中高等学校

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「『指導』から『支援』に向けた取り組み」というテーマで報告いただきました。

城北でipadを導入することになって、校内で様々な心配事が挙げられ、抵抗感を示す声も聞かれる中、デジタルネイティブの生徒には抵抗感はなく、「新しいことを勉強していないのは先生ではないか?」と飯盛先生は分析しておられました。

ipadを使うというのは、指導の一角に過ぎず、最終的には「good userになれ」と指導しておられるそうです。

そのためにも中学2年生のICT委員に中学1年生に対して導入説明をさせるなど、使い手としての教育もされておられました。

メリットはやはり情報の共有化がしやすく、それによる生徒の思考の拡充が図れること。
失敗しながら修正していくというデジタルならではの使い方が身につくということなどが挙げられていました。

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ICTには無限の可能性が秘められており、今後どのように切り開いていくか、まだまだ様々な実践ができそうです。

■ 黒瀬直美先生 広島観音高等学校

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「不自由な県立高校ICTの実態」というテーマで報告がありました。

HPを開設してから掲示板を活用した国語の意見交換の授業をしたいと思った先生は、アクセス制限に引っかからない自作の掲示板を作成し、生徒と夏目漱石「こころ」の掲示板意見交換を行います。

そこでは生徒は面白がって短い文章のやりとりを楽しみ、本質的な内容に関わるやりとりは二の次にされるという落とし穴が待っていました。

ところが学力の高い学校で同じ事をやると成立します。

そこで次のようなことがわかりました。

►新しい表現手段、情報収集手段で活発化する。
►結局、基礎的な土台として、読み書きの能力が高くないと、深まらない。
►情報教室を使うと画面対個人になり、対面で話しあうという場面に切り替えにくい。

当面教材提示装置として毎回毎回、プロジェクターとPCとスクリーンを教室に持ち運んでいましたが、疲れ果てた先生は紙で良いから双方向性を目指し、紙媒体へ回帰し、手法が増えたということです。

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■今田英樹先生 広島女学院中高等学校

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「G suite導入から活用へ」というテーマで報告してくださいました。

G suiteはGoogle が提供するグループウェアサービスです。

OSを選ばず、どこでも使える、容量無制限、安価、汎用性が高いなどのメリットがあります。

まず2018年度に全教職員がアカウントを取得し、1年間使用になれてもらって、2019年に全生徒がアカウントを取得するという流れて導入されました。

最初は、家での宿題データを配信したり、クラスでの伝達事項や校務での情報のやりとりなどデータのやりとりがメインで行われました。

しかし次第に、授業で情報配信やアンケートなど次第に広がり、修学旅行の探究学習では事前事後に生徒の共同編集が行われるなど、活用の幅が広がってきました。


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導入の方法も校長先生などのTOPダウンが一番導入が早いが、そうなると抵抗感を示す先生方も多くなってしまうので、じわじわ浸透させる、全員の合意形成は無理なので、導入しつつ修正をしているということでした。

その後、質問をグーグルフォームで記入してもらって、司会の斉藤先生がそれを拾い上げ、発表者が答えていきました。

(2)講演

浅野大介氏の講演です。

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浅野さんは、経済産業省の商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長で、未来の教室という事業を展開されています。

サイトから引用します。

「未来の教室 ~learning innovation~」は「未来の教室」の実証プロジェクト群の進捗状況や、学校・学習塾・個人学習で使える国内・世界のEdTechの最新動向等を広く情報発信するためのポータルサイトです

EdTechの説明は、こちらをどうぞ。

引用します。

EdTech(エドテック)とはEducation(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。

EdTechは進歩を続けるテクノロジーの力を使い、教育にイノベーションを起こすビジネス領域として世界中で注目を集めています。

例えば、子供向けの知育アプリを提供するSmart Educationや、小中高生向けの教育をサポートするスタディサプリ、社会人向けでは英会話やプログラミングといった実践的なスキルが身につけられるschooやUdemyがあります。


浅野さんは、

「AIが浸透していく今後、創造力、編集力、判断力が必要となるような、きわめてクリエイティブな仕事が中心になっていく。

そのためにも、情報機器を使いこなすスキルが必要。

またPBLを導入していくなど、授業の構造自体も変わらなければならない。」

ということからお話を始められました。

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PBLについてはこちら。

引用します。

問題解決型学習(Project Based Learning)。これは別名「課題解決型学習」とも呼ばれ、知識の暗記などのような生徒が受動的な学習ではなく、自ら問題を発見し解決する能力を養うことを目的とした教育法のことを指します。生徒自身の自発性、関心、能動性を引き出すことが教師の役割であり、助言者として学習者のサポートをする立場で授業を進めて行きます。

また正しい答えにたどり着くことが重要ではなく、答えにたどり着くまでの過程(プロセス)が大切であるという学習理論のことで、1900年代初頭アメリカの教育学者ジョン・デューイが初めて教育現場で実践に取り入れたとされています。


「大学はそういうプロジェクトの宝庫であり、きわめて探究的であり、そのメソッドも持っている。大学での研究をもっと世の中に出していき、その流れに高校生も巻き込むことはできないか?」

「既存の産業はもはや無くなっていく運命にある。子どもたちに未来を見据えた教育をしていかなければならないのではないか」

と続けて付け加えられました。

そして今の日本でもっとも課題となっている災害に対するご自身の取り組みを通して、日本の教育の課題を指摘されていました。

浅野さんが台風19号の被災地に派遣されたとき、深刻な被災状況の中、解決すべき多くの課題がありました。

早速チームでLINEを立ち上げ、各地にメンバーを派遣して実態調査を綿密に報告させます。被害状況を具体的に示す写真、予測される問題点などなど、一日で情報を収集し、長野市、長野県、政府など全ての関係機関と情報を共有し、みんながイメージを共有しながら、各セクションで1つの仕事をするように浅野さんは流れを作られたそうです。

しかし、対応の遅い現場、解決策を発想できない頭の固さ、固定観念にとらわれて新しいことを受け入れない人々・・・。

浅野さんは今の日本の教育に次のような課題があると指摘されました。

・目の前の「課題の構造」を把握する力。
・様々な組織や専門家をバインドする力。
・「解決策のオプション」を並べる力。
・「ベターなオプション」を組み合わせて、試す力。
・走りながら修正を続ける力。(重要)


そのような力を育てている伊那小学校の事例を紹介されました。

そういう人を育てる新しい教育を民間の企業の人たちとパッケージ化して高校教育現場へ橋渡しをしたいということで活動されています。

その普及に向けて「未来の教室」キャラバンというのを展開されています。

その後、質問をグーグルフォームで受け付け、様々な質問に答えていただきました。

最上位の目標を共有できている学校は変化する。

学校は知的創造活動をする場になっているか? 何かを生み出しているのか?


質問に答える中でこういった言葉が印象的でした。

非常に熱く、そして知的に語っていただき、参加者も大いに刺激を受け、新しい時代の教育をますます切り開いていかなければならないという思いを新たにしました。

最後に参加者と記念撮影をして終了。

次回問い立てラボもますます熱いと思います。

是非ご参加ください。